コース概要
心電図波形の読み方とその波形機序を学ぶコースの第5部(ST-T変化上級編その2)です。
心電図検定にも役立ちます。
ST-T変化とは①ST上昇、②ST低下、陰性Tの3つの変化をさします。これらの心電図波形の読み方とその波形機序を学ぶことでST-T変化に関与するST上昇型心筋梗塞(STEMI)、非ST上昇型急性冠症候群(NSTE-ACS)、 胸部大動脈解離(破裂)、肺塞栓症、重症心不全、心筋炎、たこつぼ症候群、ストレス性心筋症、高/低カリウム血症などの診断が可能となります。尚、我々が救急現場で遭遇するST-T変化のパターンは約50~60パターンあります。心電図コースⅤ(ST-T変化上級編その2)では、ST低下疾患(V4~V6を中心にST低下)(10パターン)、陰性T疾患(V3~V5を中心に陰性T)(4パターン)、巨大陰性T疾患(2パターン)、肺塞栓症(4パターン)、高カリウム血症によるST上昇(2パターン)、急性冠症候群の残りのパターン(4パターン)について心電図波形の読み方とその波形機序を学びます。
ST低下疾患とはV4~V6を中心にST低下がみられる疾患群で、非ST上昇型急性冠症候群、胸部大動脈解離破裂、肺塞栓症、重症心不全、ストレス性心筋症(ST低下型)、頻拍性不整脈、低カリウム血症などです。陰性T疾患とはV3~V5を中心に陰性Tがみられる疾患群で、非ST上昇型急性冠症候群、たこつぼ症候群(亜急性期)、重症心不全、ストレス性心筋症(陰性T型)などです。巨大陰性T疾患とは陰性Tが通常10mm以上ある疾患群で、非ST上昇型急性冠症候群(心内膜下梗塞)、たこつぼ症候群(亜急性期)などです。肺塞栓症については、肺塞栓症の心電図所見の基本である右心負荷と3タイプ(陰性T型、ST低下型、ST上昇型)の心電図所見について学びます。高カリウム血症のST-T変化はST上昇で、高カリウム血症が重篤になるとST上昇がみられますのでこのST上昇所見について学びます。他に、ここまでで網羅できなかった急性冠症候群の残りのパターンも学びます。
コースの進行方式は講義方式ではなく、実際の12誘導心電図を使い、読影練習を中心としたドリル形式の実践的なコースです。臨床現場で直ぐに活用できることを目的として、読み方の手順(アルゴリズム)を実際の心電図をもとに何回も練習することで臨床能力を高めることができるようにしております。臨床現場(救急現場)で遭遇する上級ST-T変化の波形(12誘導心電図)を経験することができます。
このコースは、ACLSコースやACLS-EPコースを受講するためには有益と思われますが、ACLSコースやACLS-EPコースの受講に必須ではありません。希望者のみの自由参加コースですので、認定証は発行されません。
コース内容
Ⅰ. | ST-T変化のドリル形式心電図読影実践 |
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1. | ST低下疾患(V4~V6を中心にST低下がみられる疾患群):10パターン |
| 1)非ST上昇型急性冠症候群 |
| 2)胸部大動脈解離破裂 |
| 3)重症心不全 |
| 4)ストレス性心筋症(ST低下型) |
| 5)頻拍性不整脈 |
| 6)低カリウム血症 |
2. | 陰性T疾患V3~V5を中心に陰性Tがみられる疾患群:4パターン |
| 1)非ST上昇型急性冠症候群 |
| 2)たこつぼ症候群(亜急性期) |
| 3)重症心不全 |
| 4)ストレス性心筋症(陰性T型) |
3. | 巨大陰性T疾患(陰性Tが通常10mm以上ある疾患群):2パターン |
| 1)非ST上昇型急性冠症候群 |
| 2)たこつぼ症候群(亜急性期) |
4. | 肺塞栓症(右心負荷):4パターン |
| 1)陰性T型(V1~V4を中心に陰性T) |
| 2)ST低下型(V4~V6を中心にST低下) |
| 3)ST上昇型(Ⅱ・Ⅲ・aVF・胸部誘導のST上昇) |
5. | 高カリウム血症(ST上昇);2パターン |
| 1)Ⅱ・Ⅲ・aVFでのST上昇型 |
| 2)V1・V2(・V3)でのST上昇型 |
6. | 急性冠症候群の残りのパターン:4パターン |
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受講条件、コース時間、受講料
受講条件 |
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どなたでも受講できます
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コース時間 |
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約4時間
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受講料 |
| 初回のみ7,700円、2回目以降は無料で何度でも受講可能です。 |
講師
- 河野 寛幸(こうの ひろゆき)
- 福岡博多トレーニングセンター理事長
- 日本救急医学会専門医、日本脳神経外科学会専門医、臨床研修指導医
評価と認定
希望者だけの自由参加コースのため、認定証はありません。
使用テキスト
コース当日に、このコースのための「コース資料」を受付にて配布いたします。